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2008'07.17 (Thu)

童話「ミラクマくんのお見舞い」

教師だった頃、年に1度の学芸会で上演するために
小学2年生と「クマくんのお見舞い」という劇を創りました。

脚本・演出は担任の私、
小学2年生の子どもは動物たちを演じて好評でした。

さて、その劇を、新刊『きっと、だいじょうぶ。』発刊を記念し、
「ミラクマくんのお見舞い」と題して、童話に改作しました!

お時間のある方は、どうぞお楽しみください。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ミラクマくんのお見舞い 
作 中井俊己


静かな森の中で、一ぴきの子グマがうつむいて、地べたにすわりこんでいます。
そこへ小鳥たちがやってきました。
「あっ、ミラクマくんだ。」
「ミラクマくん、どうしたの?」

すると、子グマは急に大きな声を出しました。
「あああん。」
小鳥たちは、おどろいてとび上がり
「わあああ。」
と、わめいて、羽をバタバタさせました。
「ああ、びっくりした。」
「ミラクマくん、泣いているの?」
「ミラクマくん、どうしたのかな?」



そこへ、リスたちがやってきました。
「おおい、小鳥さん。」
「そんなところに集まってどうしたの?」
「何か楽しいことでもあるのかい?」

すると、また、ミラクマが叫び出しました。
「ああああん。」
「わああああ。」
リスや小鳥たちは、おどろいてひっくり返りました。

立ち上がると、リスが口を開きました。
「ああ、びっくりしたあ。」
「ミラクマくん、泣いているのかい?」
「ミラクマくんの泣き声って、ごうかいだなあ。」


 
そこへ、ウサギたちがやってきました。
「おおい、みんな、集まって何しているの?」
 小鳥が答えました。
「ミラクマくんが、泣いているんだよ」
「えっ?ミラクマくんが……」
ウサギたちは、思わず顔を見合わせました。

そして、一ぴきのウサギがおずおずと言いました。
「ミラクマくん、ごめんよ。この前、ぼくたちが
『君の耳は短いなあ』って、悪口を言ったこと、おこっているんでしょう。」

ミラクマは、ずっとうつむいたままで聞いていましたが、
目に両手を当てたまま急に叫びました。
「ちがうよ、ちがうよ。あああああん。」
「わあああああ。」
ウサギもリスも小鳥も、またその大きな声におどろいて、ひっくり返ってしまいました。
 


そこへ、ヘビたちがやってきました。
「おおい、みんな。」
「みんな、集まってどうしたんだ?」
「みんなでダンスをおどっているの?」

困った顔で、ウサギが答えました。
「そうじゃないよ。ミラクマくんがさっきから、泣いているだよ」
「えっ?ミラクマくんが……。」
ヘビたちは、たがいに顔を見合わせました。

そして、なんだか申し訳なさそう言いました。
「ミラクマくん、ごめんね。」
「この前、ぼくたちが『クマよりヘビの方がえらいんだ。
そのしょうこに、ヘビ年はあっても、クマ年なんかないんだぞ』って、
いばったから、泣いているんでしょう。」
「ちがうよ、ちがうよ。わああああああん。」
「わああああああ。」
また、みんな、またまたひっくり返ってしまいました。
 


そこへ、タヌキたちとキツネたちがやってきました。
「おおい、みんな。」
「いったい、どうしたんだ?」
「すもうでもして、遊んでいるのかい?」
ヘビが答えました。
「そうじゃないよ。ミラクマくんが泣いているんだ。」
「えっ!ミラクマくんが……。」

タヌキとキツネは、おどろいて顔を見合わせました。
そして、泣いているミラクマをのぞきこむようにして言いました。
「ミラクマくん、ごめんよ。」
「この前、ぼくたちの化けくらべ遊びに入れてあげなかったから、
泣いているんでしょう?」
「ちがうよ、ちがうよ。あああああああん。」
「わあああああああ。」
 
みんな、ぶっとんでしまいました。
「こまったなあ。」
「ミラクマくんは、どうして泣いているのかなあ。」
キツネも、タヌキも、ヘビも、ウサギも、リスも、小鳥も、どうすることもできません。



「あっ、森の長老さまだ。」
見ると、向こうからぶあついメガネをかけたフクロウがやってきました。
「いやあ、諸君、元気かね。」

すると、キツネが言いました。
「元気ですとも、長老さまもお元気そうで何よりです。」
「おや、おまえはこの前、鬼に化けて、村人をおどかしていたキツネだな。
あんなことをすれば、人間がわしらをこわがるようになる。
もう、あんなバカなことはしてないか。」
「し、していませんよ。
それにもともと、おどかすつもりなんかなかったんです。
みんなで、化けくらべ遊びをしていたら、
ちょうど村人さんが通りかかったんですから…。」


さっきから、じれったそうにしていたタヌキが、口をはさみました。
「ところで、長老さま、こまったことがあるんです。」
「うむ、どうしたんじゃ。」
「はい。実は、ミラクマくんがさっきから泣いてばかりで、ぼくたち、困っているんです。」
「うむ、うむ」

長老は、しゃがんだままうつむているミラクマをのぞきこみ、しわがれた声で言いました。
「こりゃ、ミラクマよ、顔を上げなさい。
泣いてばかりでは、男らしくない。わけを話してごらん。」


子グマは、ようやく顔を上げると、
涙でいっぱいの目をしばたたかせながら、つぶやきました。
「うん、あのね…、ぼくね……。」
みんなは、けんめいに耳をそばだてています。
「……おっことしちゃったの。」
「おっことしたあ?」
みんなは、いっせいに声を上げ、首をかしげながら顔を見合わせました。
 


そこへ、三びきのサルたちがやってきました。
手には食べかけのバナナをもっています。

サルは、みんなのようすがへんなのに気づいてたずねました。
「あれ?みんな、どうしたの?」
「シー」
みんなは、口に指を当て、いっせいにサルたちをにらみつけました。

しゃがんだまま肩を落としている子グマに、リスがやさしく問いかけました。
「ミラクマくん、何をおっことしたの?」
「バナナ、だよ」
「バーナーナー!」

みんなの視線が、いっせいにサルたちのもっているバナナにそそがれました。
サルたちは、なにごとがおこったのか分からず、キョトンとしてかたまってしまいます。
 
ただ、子グマだけは、サルたちがいることに気づかず、
しゃくりあげそうになるのをこらえながら、言葉をつづけました。
「ぼくのおばあちゃんが、病気でね。
おばあちゃんの大好きなバナナをもって、お見舞いに行くとちゅうに、
ふくろごとおっことしちゃったんだ。」

「だいじょうぶだよ。」
と、ウサギが言いました。
「きっと、どこかにあるよ。」
小鳥がそう言うと、「そうだよ。」「そうだよ。」と、みんながうなずきました。

「だけど、ぼく、ずうっとさがしたんだよ。
今ごろ、だれかが拾って食べているかもしれない。」

そう聞くと、キツネとタヌキは、サルたちの前にあわてて立ちはだかりました。
サルのもっているバナナが子グマの目に入らないようにするためです。
「そんなこと、ないよ。」
「そうだよ。そんなこと絶対にないよ。」

リスの一ぴきが、
「よし、ぼくらも、いっしょにさがしてあげるよ。」
と言うと、もう一ぴきがすかさず、
「よし、じゃあ向こうの方へ行ってみよう。」
と言いました。
 
子グマは気をとりなおして、立ち上がると、
みんなにお礼のことばをのこして、一度来た道をリスたちとさがしに行きました。
小鳥も、ウサギも、ヘビも、タヌキも、キツネも、フクロウも、それをだまって見送るのでした。



ミラクマの姿がすっかり見えなくなると、フクロウがしわがれた声でサルにたずねました。
「おい、そのバナナは、どうしたんじゃ?」

みんなの視線が食べかけのバナナに集まっているのをサルたちは感じました。
「ど、どうしたって?これ、……ひろったんです。」
「えー!」
みんながいっせいに叫んで、サルたちをにらみつけました。

サルたちは、やっとこの場の事情がのみこめたようです。
「これ、ミラクマくんのバナナだって、知らなかったんだよ。」
「病気のおばあちゃんにあげるバナナだって、
ぜんぜん知らなかった。」
「ああ、どうしよう」
サルたちは、困って泣きそうになりました。

みんなも、困って考えこんでしまいました。
「どうしよう。どうしよう。」
 


それから、しばらくして…。


さて、ここは、ミラクマのおばあちゃんの家です。
 
おばあちゃんは、病気のためにベットでねています。とても苦しそうです。
「ああ、頭がいたい。
おお、おなかもいたい。うううん。うううん。」
 
ピンポーン、ピンポーン。
げんかんのチャイムが鳴りました。

「おや、だれだろうね。」
おばあちゃんがげんかんまで行くと、入ってきたのは、子グマでした。
「おばあちゃん、こんにちは。おばあちゃん、病気はどう?」
「おや、まあ、ミラクマちゃんだね。お見舞いに来てくれたのかい。」
おばあちゃんは、にこにこしています。
 
でも、子グマはなんだかかなしそうです。
「うん。でもね。おばあちゃん、ごめんなさい。」
「あれ、まあ、どうしたんだい?」
「ぼくね、おかあさんから、
『もって行きなさい』って言われたおばあちゃんの大好きなバナナを
とちゅうでなくしてしまったんだ。」
「おや、まあ、そうかい。そんなこと気にしなくていいんだよ。
おばあちゃんは、ミラクマちゃんが来てくれるだけでうれしいんだからね。」

 
ピンポーン、ピンポーン。
また、チャイムが鳴りました。
モジモジしながら、入ってきたのは、あの三びきのサルたちでした。

「ご、ごめんくださーい。」
「あのー。じつはぼくたち、ミラクマくんの友だちです。」
「でも、道におちていたバナナをミラクマくんのものだって知らずに、
食べてしまったんです。」
「えっ!」
目を丸くして声を上げたミラクマと、
にこにこ顔のおばあちゃんをかわりばんこに見ながら、
「ごめんなさい。」
と、サルたちは頭を下げてあやまりました。

「これ、おばあちゃんの病気がよくなるようにもって来ました。」
そう言うと、それぞれが後ろ手にもっていた大きなビンをさし出しました。
「これ、ぼくらの森のミツバチくんが作ってくれたおいしいハチミツです。」

ハチミツのいい香りが、ほんわりと家中に広がったようでした。
「おや、まあ、ありがとう。わたしの大好物だよ。本当にありがとう。」
 

ピンポーン。ピンポーン。
また、チャイムが鳴りました。

「こんにちはー。」
入ってきたのは、小鳥、リス、ウサギ、ヘビ、タヌキ、キツネ、そしてフクロウでした。

おばあちゃんは、もうびっくり。
「おやおや、まあ、こんなに大ぜい、どうしたんだい。」
「ぼくたち、みんな、ミラクマくんの友だちです。」
「バナナを買うお金がなかったから、みんなで、かわりのものをもって来ました。」
「これ、森の中のおいしいくだものです。」

かごの中に山とつみ上がったくだものを、おばあちゃんにさし出して、
ウサギが言いました。
「おばあちゃん、早くよくなってね。」

すると、みんな口をそろえて言いました。
「おばあちゃん、早くよくなってね。」
 
おばちゃんのにこにこ顔が、急にクチャクチャになっていました。
「わ、わたしゃ、うれしいよ、みんなが来てくれてうれしいよ。
なんだか、泣けてくるねぇ。」
 
おばあちゃんの体が、小きざみにふるえ出しました。
「わたしゃ、がまんできない。ねえ、泣いてもいいかい。」
 
さっきからそばでじっと見ていた子グマがあわて出しました。
「おばあちゃん、ちょっとまって!
みんな、おばあちゃんが泣くと、
地震が来たみたいになるんだ。気をつけて!」
 
みんなもびっくりして、あわててまわりの何かにしがみついたり、
テーブルやいすの下にもぐったりしました。
 
しばらくして、おばあちゃんの泣き声と
それにつづくみんなの叫び声が聞こえてきました。

「わたしゃ、うれしいよぉー!
 わああああああああああああああん!」

「わあああああああああああああああ!」 

まるで本当に地震がきたように、
家中がゆれうごき、みんなひっくり返ってしまいました。

けれども、静けさがもどった後、
子グマはテーブルの下から顔をのぞかせると、うれしそうに言いました。
「おばあちゃん、何だか、元気になったみたいだね。」
 
そう聞くと、おばあちゃんは、
「ほんとだよ。元気もりもりだよ。」
と言って両手でこぶしをつくり、
とくいそうにそれを頭の上につき出すポーズをとるのでした。
 
メガネをとばされそうになったフクロウが、そのようすを見ながらつぶやきました。
「よかった。よかった。」

すると、みんなも口をそろえて言いました。
「よかった。よかった。」
 
にこにこ顔のおばあちゃんは、みんなに向かって声をはずませて言いました。
「それじゃあ、今から、森のくだものとわたしがやいたパンで、
ハチミツパーティーをしましょう。ミラクマちゃん、みんな、手伝っておくれ。」
「やったあ!」
森の小さな家で、楽しい楽しいパーティーのじゅんびが始まりました。

   

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


この童話は、数年前に劇の脚本として書いてものを物語化して、
ブログ上で今回初めて一般公開したものです。

もしも、この童話を子ども向けの雑誌などに掲載することを望まれる
編集者さんがいらっしゃいましたら、ご連絡いただければ幸いです。


(ミラクマくんは、下記の本に出てくるメインキャラクターです。)

きっと、だいじょうぶ。きっと、だいじょうぶ。
(2008/07/02)
中井 俊已

詳細を見る


15:30  |  物語  |  CM(18)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

とっても良いお話しでしたね、 こういうお話し大好きです。可愛らしい動物たちがいっぱい出て来て楽しかったです。ありがとうございました。
 | 2008年07月19日(土) 13:16 | URL | コメント編集

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